七草粥の日として知られる正月のお節句
3月3日、5月5日と、同じ数字が並ぶ5節句の中の唯一の例外は、1月7日の人日(じんじつ)の節句。1月1日から行なわれる様々な新年行事がひと段落ついたころ、この日は七草粥を食べる日としてよく知られています。
人日とは、文字通り "人の日" の意味。中国は前漢の時代、東方朔が記した占いの書には、正月1日に鶏、2日に狗、3日に羊、4日に猪、5日に牛、6日に馬、7日に人、8日に穀を占ってその日が晴天ならば吉、雨天ならば凶の兆しであるとされていました。ですから、7日の人の日には邪気を祓うために、七草の入った粥を食べ、一年の無事を祈ったのだともいわれています。
七草粥に入れるのは、いわゆる春の七草。初春の野から摘んできた野草の生命力を食して、邪気をはらうということでしょうか。古来、宮中や神社でもこの日七種の野草を摘む行事を "若菜摘み" といい、多くの歌に詠まれたり、能楽のワンシーンとしても登場しています。
でもお正月には、まだ野草は芽吹いていないのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。かつての旧暦でのお正月は、現在の2月頃。まだ寒さも厳しいながら、陽射しには春を感じるころです。長い冬が終わりに近付き、野に出て春いちばんの息吹きを持ち帰る、七草粥の行事は新しい年が始まる喜びの行事だったと想像できるのではないでしょうか。
そして現代の私たちにとっても、1月7日に食べる七草粥は、おせち料理で疲れた胃をやさしくいたわる、理にかなった食べ物だといえるでしょう。